AI（人工知能）の発展に深層学習（ディープ・ラーニング）がめざましく貢献している中、そこで使われている深層ニューラルネットを中身のわからない魔法のようなブラックボックスとしてではなく、その仕組みを理解して、それを踏まえて実際の学習システムへと応用することが大切になります。

このコースでは、最初に、基本的な人工ニューロン（Artificial Neuron）をつなげた層からなる多層ニューラルネットを解説し、次に、それを動的ニューロン（Dynamic Neuron）に置き換えることにより、畳み込みニューラルネット（Convolutional Neuralnet）が明解に作れることを示し、その仕組みを解説します。

畳み込みニューラルネットは、マトリックス（行列）やテンソルを図示して解説することが現在一般的に行われていますが、動的ニューロンを使った多層ニューラルネットとして扱うのはこのコース独自の視点となっており、それによって数式表現がより簡素化され、また、より直感的な理解を得やすいという利点があります。その内容は、現講師が昨年の日本神経回路学会の大会（JNNS2018)でも発表し、現在、より詳細な内容を示す論文を準備中です。

本コースでは、初歩的な行列計算（ベクトル、マトリックスの演算）を使います。また、ネットワークでの学習の解説で、微分の考え方をも使います。受講者は、それらを予備知識として持っていれば役に立ちますが、受講中に各自が参考書を見ながら学習を並行して進めることも可能ですし、受講中に生じる疑問点や質問には、コース内での質疑を通して理解ができるように心がけます。

本コースは「中級」の位置づけとし、ある程度の知識のレベルを想定した解説をします。しかし、各受講生の予備知識には幅があるので、平均的なレベルでの解説で足りない点や疑問点などについては、質問に答える形で随時対応します。解説で理解できない点は受講生が自ら調べたり質問したりして主体的に学ぶ姿勢を前提とし、本コースでその学習を支援します。